第117話気が進まない、ということは足りなかったということだ

シャーロットが店を出ていくのと入れ替わるように、ジェームズがブティックへふらりと入ってきた。彼は店員に声をかける。「なあ、今の女性は何を買った?」

常連の彼に、店員はためらいなく答えた。「入荷したばかりの最新のペア腕時計セットをお求めになりました」

ジェームズの表情が曇り、腹の底から怒りがぶくぶくと湧き上がる。ペア腕時計セット? アレックスのためなのか? ずっと勘違いしていたのか? まさか、シャーロットとアレックスは本当に……。

だがすぐに、ジェームズは首を振った。むしろ確信が強くなる。ありえない。アレックスみたいな男が、妻が元夫の家に住んでいることを平然と受け入れるはずがない。そもそも...

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